「1年間日本一周、作品制作の旅」045 ステージ02秋田岩手その16

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この日の宿泊は、『松川温泉松楓荘』。

うん、何かこう、プロが選ぶ日本の旅館100選か何かで、毎年上位に食い込んで、加賀屋さんあたりと、いい勝負をしていそうな雰囲気が漂う名前。

いいや、ここは山小屋、山小屋なんです。

もし、これが「旅館」だとすると、いろいろとがっかりしたり、腹立たしく思ったりすることが出てくるので、ここはかけ流し、にごり湯の温泉にも入れる「山小屋」、山小屋なのに水も使い放題、しかも、個室でもってプライバシーも保たれるという素晴らしい山小屋なんですと考えると、ほらね、ほぼすべての問題はなかったことになる。

はい、そんな感じ。

とにかく、秘湯のコンセプトで、旅に来ちゃってるものだから、まあ、そうなります。


ここの温泉、名物は、つり橋を渡った崖の下に半洞窟の小さい露天風呂。

でもってここ、にごり湯の硫黄泉が出ている。

混浴ではあるのだけれど、小さいので実質、貸切風呂。

貸切風呂どころか、そもそも、この日のお客さんは、とくさんと加藤さん、あとおじさん一人なので、宿自体が、ほぼ貸し切り状態。

お風呂は、そのほかにも内湯も男女二つずつあって、当然かけ流し。

とにかくここ、湯舟は充実している。

まあ、それ以外のところのお話をすると非常にいろいろとあるのだけれど、そこが山小屋であることを前提とすることで、不都合も収まる。

収まる、収まるんだ、大概は。

けれど、寝れないんだ、この部屋は、この部屋では。


やっぱり寝れないとくさん、旅最終夜のこの日も、何かしらの理由で寝れない。

ちょっと説明しよう。

この部屋、とにかく、すんごい蒸し暑い。

サウナみたい。

理由は、この部屋の真下が内湯だから。

畳もダメになり、床もべこべこになっちゃうくらいの蒸し暑さ。

ならば窓を開けて換気をしようと言っても、開けた窓のすぐ下には高温の温泉を適温まで冷ますための水路が張り巡らされている。

そんなわけで、窓を開けても、閉めてもすんごい湿気が入ってくるだけ。

外、ほんとはすんごい涼しいはずなのに、ここだけ、ジャングルみたいなのよ、行ったことないけど。

でもって、寝れない原因は、もう一つあるんだ。

トイレの問題なんだ。

あまり詳しく言っても誰得なので詳細は端折るけれど、ここで唯一のまともなトイレは、内湯のお風呂にあるトイレだけ。

そして、そのトイレに行くには、薄暗い薄気味悪い廊下を歩き、階段を降り、また廊下を歩き、お風呂場に入り、その中のトイレに行く。

自分の時もそうだし、加藤さんが行きたくなったとしても、必ず一緒についていくわけで、何しろ、落ち着かない。

そんなわけで、なかなか眠りのモードに入れないでいる。


ちょっと振り返ってみよう。

0泊目 自宅 出発前で、ちょっと緊張して寝れない

1泊目 夏油温泉 雨の音と土砂崩れが心配で、あんまり寝れない

2泊目 夏油温泉 雨の音と隣人の安否が気になって寝れない 

3泊目 遠野 疲れすぎたのと、カーテンなくて、ちょっと寝れない

4泊目 八幡平 カラスの声がうるさくて寝れない

5泊目 蒸し暑く寝て寝れない


うん、こりゃあ、だめだね。

どこでも、なんでも、平気で寝れるようにならないと、日本一周の旅、最後まで続けられないわ。

というか、この旅だけでも最後までよく持ちました、自分。

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