「1年間日本一周、作品制作の旅」014 ステージ01青森秋田その5
昨夜は、よく眠れた。
風呂もよかったし、布団も枕もいい感じだった。
全部がちょうどよくて、疲れも取れた。
「さて、今日も頑張ろう」と、1stステージ青森秋田2日目の朝。
今日はまず、太宰治の生家である斜陽館に向かう。
今日の予定にしていた弘前城が、昨日のうちに片付いたので、スケジュールにちょっと余裕ができた。
斜陽館は、旅館から距離にして40kmほど、時間にして1時間というところ。
通りを挟んだところにある物産館に車を止めて斜陽館に入る。
入口のチケット売り場で、検温のためにおでこを出せと言われ、何度も、ぱちぱちやるのだがどうもうまくいかない。
失敗も、一度、二度まではいいけれど、五度も六度も失敗されると「おのれ、毎朝早出して自分で練習せえや!!」と優しくアドバイスをしてあげたくなります。
あ、そうそう、ここの入館料は、600円。
これは人によるのだと思いますが、文学好きの加藤さんにとっては500円の価値だったそうで、とくさんにとっては、う~ん、外で待っていたかったかも。
小作人向けの消費者金融で稼いでいた太宰の父親が建てた豪華な自宅兼店舗、太宰自身も否定しているこの実家の価値というのは、正直、良く分かりませんでした。
文豪にゆかりがある建物としては、熱海の起雲閣とか、伊東の東海館の方がずっと好き。
だって、そういうところは、文豪の彼らが執筆のためにと、自分で選択した場所ですから。
生家はさ、自分では選べないじゃん。
さて、北上してきた国道339号線を南下し、次に向かったのは「立佞武多の館」
まったく知らなかったのだけれど、『立佞武多(タチネプタ)』というのがあるんですな。
五所川原市の夏の祭りでは、この立佞武多という高さ20mを超える山車が出るんだそうで。
この立佞武多の館、ずいぶんと立派な外観をしているのだけれど、何故か、外にはローマの真実の口みたいなのが置かれている。
今回の旅では、作品の制作もするし、勉強も兼ねて「見るべきものは見る」というスタンスで臨んでいるので、加藤さんが見たいと思うものは、すべて見るつもりで動いている。
ただ、先ほど回った斜陽館に入った後のとくさんの心の斜陽っぷりたるや、太宰の「斜陽」にもぜんぜん負けていない状況であり、その上でこの張りぼての真実の口を見せられたわけで、「ああ、きっとまたなんだろうなぁ」とひどく切ない気持ちになっていた。
で、こちら、入館料は650円。
さっきの斜陽館とで「結構なランチ食べれたなぁ」と思いながらも、チケットカウンターへ向かう。
チケットカウンターの前では、スタッフらしき地元のおじさんが「ぜひ、中に入って、見ろ!」と強く勧めてくるのだが、具体的には何言っているのか、ほとんど分からなかった。
立佞武多の館は、建物の中に入ると、有料エリアに入る前に土産物屋のなどがあって、そこにも結構大きな山車のようなものが置かれている。
少なくない人が「それで十分」と言って帰ってしまうらしい。
このおじさんとしては、どうやら、それが不満で、ぜひ実物を見てもらいたいらしい。
と、ここまでの話は、ほとんどが身振り手振りでこちらに伝わった内容だ。
仕方ない。
まあ、これもご縁かと思いながらチケットを購入し、案内された入口に向かう。
チケットを見せて中に入ると中は真っ暗。
中のスタッフにエレベーターへ乗るように指示され、上から見ながら降りてくるといシステムなのだと説明される。
中が真っ暗であった理由は、立佞武多を説明するためのプロジェクターの映像を流すタイミングであったためらしく、それが終われば電気がつくようだ。
エレベーターが4階フロアに到着し、扉が開く。
プロジェクターの映像はもう終わりに近づいていると何となく感じる。
観覧のスタートポジションにつくと、まもなく、映像が終了。
螺旋を描くように斜めになったフロアは、まるでNYのグッゲンハイム美術館のようなのだが、違うのは、その薄暗い中央の吹き抜けには、いくつかの巨大な何かがいるように見えることだ。
間もなく、その巨大な何かのうちの一つに電気がついた。
そして次の瞬間、再び、とくさんは、ズボンチャックに雷が落ちたような衝撃を感じた。
「で、でかい!」
あまりに、でかい。でかすぎる。
電気がついたのは、会場ではなく、立佞武多、それ自身。
ねぶた、ねぷたなので、当然、それ自身が光るのだとは思っていたのだけれど、すごすぎる。
もう何でしょうね、とにかくすごくすごいんだ。
つまらない例えをすると、五所川原の皆さんにひどく叱られそうなであれなのだが、とにかく、等身大ガンダムのもっとすごいやつ。
等身大ガンダムを初めて見たときの感想は「ちっちゃ」だったんだけれど、それよりも少し大きいだけなのに、立佞武多は「すんごい、でかい!!」
批判を恐れずに敢えて言うと、そのボリューム感は、ガンダムというよりは、リックディアスに近い。
ごめんなさい。
でも、なぜガンダムにこだわるのかというと、その「立佞武多の館」自体が、このモビルスーツの、いや違った、立佞武多の格納庫になっていて、ここからお祭りに出撃するようになっているから。
そして、このモビルスーツ、いや違った、立佞武多は合計3機もある。
男性だと、大体、何かしらのガンダムシリーズを見ているだろうから、母艦の格納庫の中にモビルスーツが置かれているというシーンは度々見ているわけで、ここからの景色は、そのイメージに一番近い。
なので、そんな例えになるのだけれど、立佞武多、これ、とにかくすごいわ。
この螺旋のフロア形状もよく考えられていて、いろいろな高さから、その20mの立佞武多を眺めることができるようになっている。
考えた人、すごくえらいです。パチパチパチ。
すごく時間をかけてゆっくりと降りてきていたので、途中で電気が消されてしまった。
再び、プロジェクターの時間になったらしい。
今度は、しっかりと頭から見ることができたので、五所川原の人たちの心意気が伝わった。
とくさん、ちょっと涙目。
加藤さんも感動して泣いてました。
この巨大な立佞武多は、毎年一つが新しくなっているとのことで、何年かしたら、また足を運びたいと思いますね。
さて、立佞武多展示室を後にして、喫茶エリア。
りんごのソフトクリームがあるというので、頼んでみた。
加藤さんはりんごのソフト、とくさんはリンゴとバニラのミックス。
我々の一致した意見では、ミックスの方がおいしい。
りんごのソフトは、ソフトというよりもシャーベット。
あ、そうそう、もう一度言うけれど、この立佞武多の館の入館料は、650円。
これ、すごく安かったですよ。
こちらは、3000円くらいでもいいかも。
青森に来たなら、ちょっと足を延ばしてでも、一日かけてでも、来る価値あり。
ぜひ。
動画もご覧ください→YouTube:SunnydayCats
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