「1年間日本一周、作品制作の旅」017 ステージ01青森秋田その8

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この時期は、17時過ぎでは、まだまだ明るい。

昨日の大きくて真っ赤な夕日は、19時過ぎだった。

今日はこれから、その重要な時間をどう迎えるのかという話をしながら、旅館方面に向かう。

昨日の夕日は、旅館からスーパーに向かう土手の上、車の中から見たものだった。

同じ状況を作って、しっかりと準備をして、さらに精度を上げるのか、それとも、全然違うところに行ってみるのか。

その結論は、一旦保留とし、まずは、『さとちょう』で夕食の確保をすることになった。

『さとちょう』とは、このあたりにいくつもあるスーパーのチェーン。

店舗の大きさで言うと、昨日のイオンのような『ベニーマート』と比べれば、ずっと小さいのだけれど、数はこちらの方が多いようだ。

帰り道にも店舗があったので、名前が気になっていたこのスーパーに入ってみた。

時間は、まだ18時の手前。

昨日の19時過ぎとは違い、きっとまだ、お弁当にしてもお惣菜にしても、いろいろと残ってい、ない。

いない、いないんだ。

もう、みんな売れちゃってる。

青森のスーパーは、やっぱり勝負が早いんだ。

明日、明後日は、夕食ありのお宿なので、とりあえず、お腹を満たせれば、今日の夕食にこだわる必要はない。

結局二人とも、どっちでもいいなと思うものを、どっちでもいいなと言いながら購入し、車に戻った。


引き続き、車を旅館方面に走らせているとあることを思い出した。

旅館の東側に少し行った農園からは、岩木山方面がよく見渡せるという話。

これは、加藤さんのお父様が仰っていたことなのだけれど、それを思い出して、そこに行く提案をしてみた。

やたらと記憶力がいい加藤さんにしては珍しくなのか、知っていてあえて良い提案だとほめてくれたのかは分からないが、いずれにしても、それに賛同してくれて、夕日をお迎えする場所が決定。

昨日の土手ではなく、山道を登ることになった、車でね。

夕焼けは順に迫ってくるが、まだ18:30前なので、焦る必要はない。

時間は十分にあるのだが、ただ、実際には、それがどんな場所なのかはまったくの未知数。

ただ、結論から言ってしまえば、岩木山の右側に落ちる、素晴らしい夕陽を見ることができた。

農園の車を止めるスペースに失礼させていただき、外に出る。

外は急に肌寒くなっている。

夕陽が落ちていくところをGoProとフルサイズのカメラで動画で撮影していると、視界の左端に感じていた加藤さんが少し離れていくような気がした。

手持ちで動画を撮影していたので、音を気にして加藤さんもとくさんに声を掛けられず、こちらも首でストラップを固定していて、それに目配せをすることもできない。

夕陽が、昼間にいた鰺ヶ沢あたりに消えたのを確認して、録画を止める。

思いのほか時間がかかり、首が痛くなってしまった。

 「あれ?加藤さーん」

見渡しても、加藤さんの姿がない。

想定していた範囲を探しても、全然見つからない。

 「加藤さーん」

夕焼けに染まるトワイライトゾーンでは、何が起きてもおかしくない。

オレンジ色の神隠しにあったのではないかと、不安がよぎる。

とても心配になって、捜索範囲を拡大。

車で来た道をずいぶんと走り下りた先に、アジサイの前で写真を撮る加藤さんがいた。

無事でよかった。

こちらは、すんごい心配だったのだが、とくさんの顔を見た彼女が言った言葉は「バッテリー交換してって言われちゃった」だった。

つまりそれは、とくさんに車まで電池を撮りに行ってきてくれという意味だ。

夕焼けは、紅茶を飲んだ後のトイレ並みに、一刻を争う。

心配したとか何とか、そんなことを言っている暇はない。

繰り返すが、とにかく、電池は車の中。

今、駆け下りてきた農道を可能な限りの速度で駆け上がる。

ひと昔の野球選手が春の自主トレで、神社の階段を駆け上がるシーンがあったが、それが脳裏に浮かぶ。

とにかく走る。

本人としては、走っている。

「走れ!とくさん!!」と自分に言いながら、これは太宰治の呪いなのかと、こちらが恨めしく思っていた。

うん、いずれにしても、RPの電池の減りは早すぎる。

上った先では、車の後部座席に置いたバッグの中から加藤さんのカメラの電池を取り出す。

すぐに、上ってきた道を駆け下りようとしたところで、何とか、思い留まる。

 「いや、ここは、駆け下りるんじゃなくて、車でしょ」

実に危なかった。

もしここで、駆け下りたりしていたら、帰りには、また、自分で今の道を上がってこなくはならない。

ましては、加藤さんの使ってるカメラのことだから、新しい電池を一つ渡しても、夕焼けが終わるまでにまた電池がなくなるかもしれない。

もはや、強豪校野球部のしごきだ。

状況の整理ができたとくさんは、落ち着いて、後部座席のドアを閉めて、運転席のドアを開ける。

うん、我ながら、なかなか賢い。

「太宰の呪いに打ち勝った」とご満悦のとくさんは、車を駐車する前に、助手席の窓に手を伸ばして、先に電池を渡す。

 『な、かっこいいだろ。とくさん』

自分で思ってみた。

夕暮れのクライマックスは、夕日が落ちてオレンジ色の光が雲を縁取り始めてからだ。

何とか、クライマックスには間に合った。

加藤さんは、とくさんを心配させたお詫びも。電池を取ってきたお礼もそこそこに、撮影に戻っている。

いわゆる「ゾーンに入っている」というやつだ。

加藤さんは、時々こうなる。

夕暮れの農園の農道で、学生の頃の加藤さんを想像した。

彼女から聞く話で、写真学校の学生だった頃、「旧街道を撮る」という課題をこなしていた時に、『時速』という概念なしに「碓氷峠」を歩いて超えようとしてしまい、心配したドライバーの人に乗せてもらって山越えをしたのだと。

碓氷峠は、赤城山や榛名山と並んで北関東における走り屋の聖地であり、人が歩く歩道などはない。

もう、自転車が首都高C2に入っちゃった方が、よほど安全な感じ。

写真のことになると、たまに、無鉄砲というか、無茶をするところがある。

車を降りたとくさんは、加藤さんが撮影しているところを撮影している。

いやいや、夕焼けに包まれる加藤さんは、とても美しい。

それでなくても、世界一美しいけれえど。ふふふ。

加藤さんに目を戻すと、今度は、カエルのような姿勢になった加藤さんが必死に撮影をしている。

 「あ・・・今、褒めたとこだったのにね・・・」

こうして、この不自然な体勢で、結構長い時間、撮影を続けた加藤さんは、翌日大変なことになる。

その話はまた明日。

 「加藤さん、今日も一日お疲れさまでした」

動画もご覧ください→YouTube:SunnydayCats

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